死後事務委任で頼めること一覧と頼めないことを解説 - 行政書士法人 終活・相続支援センター札幌

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死後事務委任で頼めること一覧と頼めないことを解説

死後事務委任契約

2026.01.22

「自分が亡くなった後の手続き、誰がやってくれるのだろう…」
身寄りが遠方にいる方や、おひとりさま世帯が増える中で注目されているのが死後事務委任契約です。ただし、死後事務委任ですべてのことが任せられるわけではありません。
この記事では、死後事務委任で頼めること・頼めないことを具体的に整理し、契約前に知っておきたい注意点までわかりやすく解説します。後悔しない備えのために、ぜひ参考にしてください。

1.死後事務委任とは何か

1-1.死後事務委任契約の基本的な仕組み

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後に発生する各種手続きを、生前に第三者へ依頼しておく契約です。主に公正証書で作成され、本人の死亡をもって効力が発生します。
対象となるのは、葬儀や行政手続き、住居の整理など「相続とは直接関係しない事務」が中心です。相続人がいない、または相続人に負担をかけたくないという理由から利用されるケースが増えています。
ただし、死後事務委任は万能ではなく、法律上できること・できないことが明確に分かれています。まずはその位置づけを正しく理解することが重要です。

1-2.遺言・相続との違い

死後事務委任は、遺言や相続手続きとは役割が異なります。遺言は財産の分け方を指定するものですが、死後事務委任は「手続きの実務」を任せる契約です。
たとえば、役所への死亡届や公共料金の解約は死後事務委任の範囲ですが、預貯金の分配や不動産の名義変更は相続の領域になります。
この違いを理解せずに契約すると、「頼めると思っていたことが実はできなかった」というトラブルにつながりやすくなります。併用を前提に考えることが、現実的な備えといえるでしょう。

2.死後事務委任で頼めること

2-1.葬儀・供養・住居に関すること

死後事務委任で代表的に依頼できるのが、葬儀や供養に関する手配です。葬儀社との打ち合わせ、火葬・埋葬、納骨先への連絡などが含まれます。
また、賃貸住宅の解約や自宅の明け渡し、家財の整理や処分も依頼可能です。特に賃貸物件では、退去手続きを誰が行うかが大きな問題になるため、事前に委任しておく安心感は大きいでしょう。
これらは相続人でなくても対応できる「事務行為」にあたるため、死後事務委任と非常に相性の良い内容です。

2-2.行政・ライフライン関連の手続き

死亡届の提出、年金や健康保険の資格喪失届、公共料金や携帯電話の解約なども死後事務委任で依頼できます。
これらの手続きは期限が決まっているものも多く、放置すると未納やトラブルにつながる可能性があります。相続人が遠方にいる場合や、高齢で手続きが難しい場合には特に有効です。
あらかじめ契約書に具体的な手続きを列挙しておくことで、受任者も迷わず対応でき、スムーズな死後対応が可能になります。

3.死後事務委任で頼めないこと

3-1.財産の分配・相続に関すること

死後事務委任では、財産の分配や相続人の確定といった行為は行えません。預貯金の解約や名義変更、不動産の処分などは、相続手続きとして別途対応が必要です。
これらを死後事務委任で任せようとしても、金融機関や法務局では受け付けてもらえないのが実情です。
相続に関する希望がある場合は、必ず遺言書を作成し、死後事務委任とは役割を分けて考える必要があります。

3-2.身分行為や判断を伴う行為

養子縁組や認知などの身分行為、相続放棄の判断といった法律判断を伴う行為も、死後事務委任ではできません。
死後事務委任はあくまで「事務処理」を代行する契約であり、本人に代わって意思決定をするものではないためです。
この点を誤解していると、「全部任せたつもりだったのに対応できなかった」という問題が生じやすくなります。

4.死後事務委任契約を結ぶ際の注意点

4-1.契約内容は「考え方」と「範囲」を共有する

死後事務委任契約では、すべてを細かく契約書に落とし込めば安心、というわけではありません。
内容を詳細に決めすぎると、状況の変化に対応できず、かえって受任者の判断を縛ってしまうことがあります。
大切なのは、「何を任せたいのか」「どこまでを死後事務として考えているのか」という考え方や優先順位を共有しておくことです。
たとえば、「できるだけ簡素に」「費用は抑えたい」「家族に負担をかけないことを最優先したい」など、方向性を確認しておくだけでも、実務はスムーズに進みます。
契約書はあくまで土台と考え、具体的な希望や想いは別途メモやヒアリングで整理しておくことで、柔軟性と安心感の両立が可能になります。

こうした考え方や方向性を共有したうえで重要になるのが、「実際にその内容を誰が、どのような体制で実行するのか」という点です。
死後事務委任は契約を結んだだけで安心するものではなく、費用の管理や実行体制が整ってこそ意味を持つ制度といえます。
次に、死後事務を確実に進めるために欠かせない「費用と報酬」の考え方について見ていきましょう。

4-2.費用と報酬は「動ける状態」をつくるために考える

死後事務委任を実際に機能させるためには、受任者が迷わず動ける環境を整えておくことが欠かせません。その中でも特に重要なのが、費用と報酬の取り扱いです。
死後事務には、葬儀費用や各種手続きの実費だけでなく、事務を担う人への報酬が発生します。これらの資金をどこから、どのように支払うのかを決めておかないと、いざという時に手続きが止まってしまう可能性があります。
一般的には、生前に一定額を預託しておく方法や、別の仕組みと組み合わせて管理する方法などが考えられます。
「任せたい内容」と「使える費用」のバランスを事前に整理しておくことが、死後事務委任を安心して任せるための大切なポイントです。

5.死後事務委任が向いている人

5-1.身寄りが遠方・少ない人

相続人がいても遠方に住んでいる場合、死後の細かな手続きは大きな負担になります。
死後事務委任を利用することで、相続人は相続に集中でき、精神的・時間的負担を軽減できます。
「迷惑をかけたくない」という思いを形にする手段として、有効な選択肢です。

5-2.「死後の不安」を減らしたい人

死後事務委任は、自分の死後に起こる現実的な不安を減らすための仕組みです。
何を誰に任せるかを整理することで、今の生活にも安心感が生まれます。
遺言やエンディングノートと組み合わせることで、より自分らしい備えが可能になるでしょう。

6. 死後事務委任は「自分に合うかどうか」が大切

死後事務委任は、すべての人に必要な制度ではありません。しかし、家族構成や生活環境によっては、大きな安心につながるケースもあります。
「どんな人に向いているのか」「どんな場面で役立つのか」については、
【死後事務委任契約が役立つケース】の記事で、具体例を交えて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

また、「自分の場合はどうなのか」「契約まで考えるべきか迷っている」という方には、少人数制のセミナーでの解説や個別相談もおすすめです。
制度の説明だけでなく、実際の事例をもとに、無理のない備え方をお伝えしています。

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死後事務委任は、不安をあおるためのものではなく、これからの暮らしを安心して過ごすための選択肢のひとつです。
ご自身の状況に合った備え方を、一緒に考えてみませんか。

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